北海道で愛らしい姿が人気のエゾモモンガ。
夜行性のため野生で出会うのは難しいですが、動物園では工夫された展示によってその姿を楽しむことができます。
この記事では、円山動物園・釧路市動物園・おびひろ動物園・旭山動物園といった主要な施設を取り上げます。
それぞれの展示の工夫や観察しやすい時間帯を、わかりやすくご紹介します。
さらに、昼夜逆転の仕組みや夜行性ならではの生態についても触れます。
初めて訪れる方でも安心して観察計画が立てられるよう、丁寧にまとめました。
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北海道主要施設の展示状況と特徴がわかる
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昼夜逆転展示で見やすい理由を理解できる
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夜行性に合わせた観察の時間帯を把握できる
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マナーと撮影の基本で失敗を避けられる
エゾモモンガを見られる動物園の魅力

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円山動物園での展示の特徴
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釧路市動物園の飼育と環境
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おびひろ動物園での観察ポイント
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旭山動物園の展示と工夫
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夜行性のエゾモモンガの生態
円山動物園での展示の特徴
札幌の円山動物園では、北海道の自然を伝える多彩な展示が行われ、その中でもエゾモモンガは小さな樹上のかわいい住人として人気がありました。解説を通じて行動や生態に触れられる教育的な空間として、多くの来園者に愛されてきました。
しかし2025年5月3日、幼いオスの「やなぎ」が亡くなったことが公式に発表されました。この個体は今年初めから展示され、展示再開を楽しみにしていた方々にとっては、とても残念な知らせになりました。現在は、展示されているエゾモモンガはいません。
それでも、円山動物園は公式サイトで動物の近況や展示の変更をこまめに更新しています。展示が再開されるその日を、みなさんと一緒に楽しみに待つことができます。
再び「やなぎ」の仲間たちの姿を見られるようになったときには、巣箱からひょっこり顔を出す仕草や、木を登る姿、枝先での毛づくろい、滑空前に体をゆっくり伸ばすような動きに注目してみると、その場の空気さえ温かく感じられるかもしれません。
エゾモモンガは夜行性なので、開園直後や給餌のあとなど限られたタイミングで動きが活発になることがあります。今は見られないからこそ、次に会えるときの感動がより大きくなりそうですね。
釧路市動物園の飼育と環境
釧路市動物園には、道東の自然をギュッと凝縮した「北海道ゾーン」があり、野生生物と地域の自然を結びつけて学べる展示がそろっています。エゾモモンガもこのゾーンで紹介されてきましたが、夜行性という特性から、日中に活発な姿を見られる機会は多くありません。
2025年5月時点では、エゾモモンガとエゾリスの展示はいったん休止していると公式に案内されており、来園前に最新の展示状況を確認するよう呼びかけられています(出典:釧路市動物園 北海道ゾーンのご案内)。
園内はとても広く、湿原や森林の雰囲気を取り入れたつくりになっており、解説板や観察デッキを通じて自然の成り立ちや生きものの暮らし方を知ることができます。たとえ展示が休止中であっても、同じゾーンにいる猛禽類や水鳥を観察することで、森のつながりが小さな滑空哺乳類にとって大切だということを実感できるでしょう。
観察マナーとしては、展示のガラスや柵に物を当てない、静かに順路を進むといった基本を守ることが大切です。こうした姿勢は、展示が再開されたときにエゾモモンガの自然な行動を観察する助けにもなります。
おびひろ動物園での観察ポイント
おびひろ動物園では、エゾモモンガを「どんぐりのいえ」という屋内展示施設で公開しています。そこでは、昼と夜の照明を入れ替える「昼夜逆転展示」が導入されており、自然な夜行性の行動を昼間でも見られるよう工夫されています。昼間は照明を暗く、夜間は明るくしている点が、特にユニークな設計です。
また、おびひろ動物園では2025年に、14年ぶりとなるエゾモモンガの赤ちゃん誕生が報じられており、赤ちゃんの公開を通じて来園者の関心も高まっています。
観察のコツは以下のようなポイントに気をつけることです。
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照明の切り替えタイミングや給餌前後を狙う:この時間帯は活動が活発になり、巣箱から出るしぐさや滑空前の準備行動、幹や枝を使った移動、毛づくろいなどが見やすくなります。
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撮影時は反射に注意:展示ガラスへの反射を避けるため、カメラやスマートフォンのレンズはガラスに密着させず、少し角度をつけて撮影するのがよいでしょう。明るい衣服も映り込みの原因となるため、控えると安心です。
おびひろ動物園のエゾモモンガ展示は、展示環境と動物への配慮がしっかり組み込まれており、特別な観察体験ができる場所です。静かな時間を選んで訪れると、小さな動きの中にあるかわいらしさや生態の一場面に出会えるかもしれません。
旭山動物園の展示と工夫
旭川市にある旭山動物園は、日本で初めて「行動展示」を導入した動物園として全国的に知られています。エゾモモンガの展示にもその理念が活かされ、自然の姿を尊重した環境づくりが行われています。
昼夜逆転展示と行動観察の工夫
2021年にオープンした「エゾモモンガ舎」は、園内初の昼夜逆転型展示施設です。館内を昼間は暗く、夜は明るくすることで、夜行性のモモンガを日中でも観察できるようになっています。
さらに巣箱や枝の配置を工夫し、滑空や採食といった自然な行動を引き出しやすい環境が整えられています。
また、旭山動物園では「見せる」ではなく「魅せる」展示を目指しており、滑空の仕組みを説明したパネルや巣材集めの解説などが、観察体験に学びを添えています。
繁殖と子育ての成果
2022年以降には繁殖も確認され、巣箱から顔をのぞかせる幼い姿や親子で寄り添う光景が見られました。こうした姿は来園者に大きな感動を与えると同時に、飼育環境が安心できるものである証といえます。教育的価値や保全活動の面でも大きな意義を持つ成果です。
まとめ
旭山動物園のエゾモモンガ展示は、
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自然な行動を観察できる環境
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生態や習性を学べる工夫
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繁殖や子育てから命の営みを伝える展示
が組み合わさっています。かわいらしい姿に癒されるだけでなく、野生環境や命のつながりについて考えるきっかけを与えてくれる展示といえるでしょう。
夜行性のエゾモモンガの暮らし
エゾモモンガは、夜の森を舞台に活動する典型的な夜行性の動物です。野生では日が暮れると巣穴から出てきて、カバやシラカバの樹皮や芽、葉を食べながら、木から木へと滑空して移動します。
動物園での展示でも、この夜行性の性質が大きく影響します。昼間は巣箱の中で休んでいることが多いため、姿を見られない時間もあります。そのため、多くの園では昼夜逆転の照明を取り入れ、昼間でもモモンガの活発な行動が観察できるよう工夫しています。
このような習性をあらかじめ知っておくと、「なかなか見られなかった」というがっかり感を減らせるだけでなく、展示環境に込められた工夫にも気づきやすくなります。夜の森で生きるモモンガの暮らしを想像しながら観察することで、その一瞬の動きや仕草により大きな魅力を感じられるでしょう。
エゾモモンガを楽しめる動物園の展示方法

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昼夜逆転展示の仕組みとは
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エゾモモンガの行動と夜間観察
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北海道の動物園での取り組み
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来園者が観察できる時間帯
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エゾモモンガと動物園を訪れる魅力まとめ
昼夜逆転展示の仕組み
「昼夜逆転展示」とは、館内の照明を工夫して昼と夜を入れ替え、夜行性の動物たちの暮らしを昼間に観察できるようにした展示方法です。赤みを帯びた優しい光や微光ライトを使うことで、動物に強い刺激を与えることなく、本来のリズムに近い行動を引き出すことができます。
この仕組みは、帯広市動物園や円山動物園などでも導入されており、来園者は昼間に訪れても巣箱から出て枝を移動するモモンガの姿を観察できるようになっています。単に「見える」だけではなく、夜行性という特性を知ったうえで行動を観察できるため、学びの効果と来園者の満足度の両方を高めています。
もちろん、その裏側には細やかな管理と飼育員の経験が欠かせません。照明の調整や健康チェックを続けることで、動物たちが安心して過ごせる環境を維持しています。こうした努力を知っておくと、展示で出会える一つひとつの行動が、より大切で特別な瞬間に感じられるでしょう。
エゾモモンガの行動と夜間観察

夜の時間になると、エゾモモンガはその魅力を存分に発揮します。巣箱からひょっこり顔を出す愛らしい姿、木から木へ滑空するしなやかな動き──野生の森でその姿を見かけることは珍しく、観察はなかなか難しい体験です。
けれども、動物園の工夫された環境では、そのようなモモンガたちの行動をより身近に楽しむことができます。特に夜間観察イベントでは、普段は目にできない彼らの活発な様子を見られる機会が用意されており、その時間帯は訪れる方にとって特別な体験となります。
こうした観察イベントは「予約制」「抽選制」とされているものが多く、参加には公式サイトや案内情報で日時の確認・事前申し込みが必要です 。一方、開園時間を延長して夜の姿を自由に見られる「よるの動物園」のような企画は予約不要なものもあり、気軽に楽しめる機会として多くの人に親しまれています
夜間観察はエゾモモンガの本来の暮らしを感じられる貴重な体験です。動物園教育においてもたいへん価値のある時間ですから、公式情報をチェックしてぜひ計画的に参加してみてください。
北海道の動物園での取り組み
北海道内の動物園は、それぞれの地域特性を活かしつつエゾモモンガを含む在来種の保全と教育に力を入れています。円山動物園は都市部の教育拠点としての役割を持ち、旭山動物園は行動展示を通じた啓発活動を展開。釧路市動物園や帯広市動物園は広大な自然環境を活かした展示で来園者を魅了しています。
さらに、これらの動物園は相互に連携し、飼育情報の共有や保護個体の受け入れなど、種の保全に関する協力体制を整えています。こうした取り組みは、地域資源としての動物園の社会的価値を高めるとともに、来園者が自然と人間の関係を学ぶ場として機能しています。
施設名 | 展示状況の目安 | 展示の工夫 | メモ |
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円山動物園 | 展示なし(2025年8月時点) | 北海道の生きもの解説と連動 | 長期飼育の実績があるとされています |
釧路市動物園 | 展示なし(2025年8月時点) | 北海道ゾーンの自然解説 | 園内の自然環境を活かした学習導線 |
おびひろ動物園 | 展示あり(2025年8月時点) | どんぐりのいえで昼夜逆転 | 繁殖のニュースが続き観察機会が増加 |
旭山動物園 | 展示あり(2025年8月時点) | 夜行性展示舎と行動展示 | 繁殖例や他園との個体連携の実績 |
展示の有無は個体の健康や季節で変わります。来園直前の公式案内で確認し、当日は静かに観察する姿勢が、行動を引き出す近道になります。
来園者が観察できる時間帯

エゾモモンガは夜行性のため、通常の動物園の開園時間(日中)には巣箱の中で休んでいることが多く、活発な行動を観察するのは難しいです。そのため、動物園では昼夜逆転展示を導入し、昼間でもモモンガが活動する様子を見られるよう工夫しています。
一方で、自然な夜間行動を体験してもらうために、夜間開園イベントや特別観察会を設ける園もあります。例えば夏季や秋季に開催される夜の動物園では、滑空や採食など日中には見られない行動を観察できる貴重な機会となります。
観察しやすい時間帯は動物園ごとに異なりますが、
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昼間:昼夜逆展示をしている園で活発な姿を観察可能
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夕方以降:夜間開園イベントや特別展示で野生に近い行動を観察可能
といった二つのパターンが一般的です。来園前に公式サイトやイベント情報を確認することで、より充実した観察体験が得られるでしょう。
エゾモモンガと動物園を訪れる魅力まとめ
エゾモモンガを展示する動物園は、かわいさを楽しむだけでなく、北海道の自然や生態を学べる場所でもあります。各園ごとに工夫があり、夜行性を生かした観察体験など、普段は見られない姿に出会えるのも魅力です。
こうした展示を通して、自然の豊かさや保全の大切さを感じられるでしょう。最後に、訪れる際に知っておきたいポイントを整理しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
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北海道の動物園では展示工夫が多く観察体験が充実しやすい
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昼夜逆転展示により夜行性の行動も日中に観察できる工夫
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巣箱からの出入りや採食行動を追うことで理解が深まる
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照明の切替時や給餌前後は観察に最適なタイミングとなる
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円山動物園は展示休止中
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釧路市動物園も休止中だが北海道ゾーンで自然学習の導線が整えられる
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おびひろ動物園はどんぐりのいえで観察しやすい環境を提供
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旭山動物園は行動展示を活かし細やかな仕草も観察できる
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撮影時はフラッシュ禁止で静かに映り込みを避ける工夫を
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混雑時はゆっくり周回しながら行動変化を待つのが効果的
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季節ごとに食性が変化し観察できる行動も大きく異なってくる
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滑空の前には体を伸ばす準備姿勢が観察の合図となりやすい
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展示は個体の健康を最優先に変更される点を理解しておく
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公式の最新情報を確認し観察計画を柔軟に最適化しておく
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エゾモモンガ動物園観察は学びと癒やしを同時に体験できる