「エゾリスをペットにできたら…」そんな想いでこのページを開いた方も多いのではないでしょうか。
ふわふわの冬毛、大きな目、しなやかに動くしっぽ――エゾリスの魅力に心を奪われるのは自然なことです。近年はSNSなどでその愛らしい姿が注目され、「エゾリス ペット」と検索する人も増えてきました。
ですが、エゾリスは日本の法律で保護されている野生動物であり、基本的にペットとして飼うことはできません。では、なぜ飼えないのでしょうか?また、代わりにどのようなリスであれば家庭で迎えることができるのでしょうか?
この記事では、エゾリスをペットにできない理由や寿命の違い、人になつくかどうかといった基本情報を丁寧にご紹介します。さらに、飼育できるリスの種類とその特徴についてもわかりやすくまとめています。
「かわいいから飼いたい」その気持ちを、「自然の中で見守る楽しさ」へとつなげる――そんな記事になれば幸いです。
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エゾリスは法律によりペットとして飼うことができない理由
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野生のエゾリスと飼育下での寿命や生活環境の違い
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エゾリスは人になつく動物ではないこと
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家庭で飼育可能なリスの種類とその特徴
エゾリスはペットとして飼えるのか?

エゾリスはなぜ人気があるのか
エゾリスが人気の理由は、何といってもその姿の愛らしさにあります。
まず、冬になるとふわふわの毛に包まれ、耳の先までモコモコになります。大きくてつぶらな目、ふっくらした体、そしてくるんと巻いた長い尾。まるでぬいぐるみのような姿に、思わず見とれてしまう人も多いでしょう。
そのうえ、エゾリスは北海道の公園や神社など、私たちの暮らしに近い自然の中にも現れます。観察できる場所が都市部に点在しているため、「こんなところに?」と偶然出会えた時の感動は格別です。
さらに最近では、SNSの影響も大きいです。写真や動画で広く紹介されるようになり、「このリスは何?」と検索してエゾリスを知る人が増えました。自然の中で一生懸命に木の実を食べたり、雪の中を跳ね回ったりする姿が、多くの人の心をつかんでいます。
ただし、あまりの人気ゆえに「飼いたい」と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、エゾリスは野生動物であり、飼育は禁止されています。それでも人気が続いているのは、「見るだけでも癒される」という深い魅力があるからなのかもしれませんね。
以下に、エゾリスが人気を集める理由をまとめてみました。
項目 | 内容 |
---|---|
見た目の可愛らしさ | 丸くてふわふわの体、くるんとした尾、大きな目など愛されポイントが多数 |
身近な自然にいる存在 | 北海道では市街地近くの公園や森でも姿を見かけることがある |
自然の中での動きが魅力 | 木登りや食事の様子が生き生きとしていて見ていて飽きない |
SNSでの拡散 | 写真や動画が話題になり、知名度と人気が上昇中 |
このように、エゾリスは「野生のままが一番美しい」と思わせてくれる、特別な存在です。だからこそ、そっと見守るという楽しみ方が、今の時代にはぴったりかもしれませんね。
野生のエゾリスの寿命について
エゾリスの寿命は、野生ではおよそ3〜4年といわれています。これは、他の小動物と比べてもそれほど長くはありません。
その理由の一つは、野生動物としての厳しい生活環境です。北海道の森には天敵となる動物も多く、また季節によって食べ物の量にも大きな差があります。特に冬は雪に覆われ、秋に木の実を隠しておいた場所を思い出しながら掘り返して生きていきます。こうした生活を日々くり返すのは、とても大変なことです。
また、年を重ねるごとに運動能力や記憶力が少しずつ落ちていきます。木から落ちたり、食べ物を見つけられなかったりすることも増えるため、命のバトンは次の世代へと渡されていくのです。これも自然の営みのひとつですね。
一方で、動物園のように保護された環境では寿命が延びることがあります。たとえば、旭山動物園では16年も生きたエゾリスがいたそうです。天敵がおらず、毎日きちんとした食事があり、体調が悪くなれば獣医さんが手当てしてくれます。このような環境では、エゾリスも穏やかに長く生きることができるのです。
ただし、これはあくまで特殊な環境でのこと。野生のエゾリスは「命の輪」の中で生きており、命が終わることも次の命につながる大切な役割になっています。
以下に、エゾリスの寿命に関する違いをわかりやすく整理しました。
環境 | 平均寿命 | 特徴 |
---|---|---|
野生のエゾリス | 約3〜4年 | 天敵や環境の影響を強く受ける。命の循環の中で生きている |
動物園のエゾリス | 最長で16年程度 | 安全で食事や医療のサポートがあり、より長く生きられる |
このように、野生での短い命にも意味があります。エゾリスが懸命に生きている姿を見ることで、命の大切さを私たちも感じ取れるのではないでしょうか。
飼育下での寿命と命の質
動物園のような保護された環境では、エゾリスの寿命は大きく伸びることがあります。
野生のエゾリスが3〜4年ほどの命といわれているのに対し、飼育下ではその倍以上生きる例もあります。たとえば、旭山動物園で飼育されていたエゾリスの中には16年も生きた個体がいるとの記録もあります。
これは、安定した食事、外敵がいない環境、病気やケガの際に適切な治療が受けられることなどが大きく影響しています。
しかし、寿命が延びる一方で、命の「質」についても考える必要があります。本来、エゾリスは広い森の中を自由に駆け回り、木の実を探して食べ、天敵を警戒しながら暮らしています。そのような自然の営みの中でこそ、エゾリスらしい生き方ができるのです。
飼育下ではそのような行動の多くが制限されるため、ストレスを感じたり、本来の習性が発揮できなくなったりする可能性もあります。
このため、「長く生かすこと」だけが正しいとは限らず、その動物がどれだけ自然らしく生きられているかも大切な視点といえます。
以下に、飼育下における寿命と生活の特徴を整理しました。
項目 | 内容 |
---|---|
寿命の長さ | 動物園では10年以上生きることも。最長16年の例あり |
医療のサポート | 体調を崩した際には獣医のケアを受けられる |
ストレス環境 | 自然な習性が制限されることによるストレスの可能性 |
命の質 | 「自由に生きること」が失われるリスクもある |
どんなに長生きできても、その命が幸せかどうかはまた別の話なのかもしれませんね。
エゾリスは人になつくのか
エゾリスは基本的に人になつく動物ではありません。
自然の中で暮らすエゾリスは、警戒心が強く、人の気配を感じるとすぐに木の上へ逃げたり、隠れたりします。この行動は、天敵から身を守るための本能として備わっているものです。
ただ、地域によっては人の出入りが多い公園や神社などに生息している個体もおり、そうした場所では人への警戒心がやや弱まっているように見えることもあります。中には近くまで来るエゾリスもいますが、それは「なついている」のではなく、「慣れている」状態にすぎません。
ここを誤解してしまうと、エゾリスをペットとして飼いたいと考えてしまう人もいますが、エゾリスは野生動物であり、人に甘えたり、抱っこされたりするような存在ではないのです。
また、飼育下でも無理に人に慣れさせようとすると、ストレスや異常行動を引き起こす恐れがあります。無理に近づかず、「遠くから見守る」ことがエゾリスと上手につき合うコツと言えるでしょう。
以下に、人との関係性についての要点をまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
基本的な性質 | 警戒心が強く、すぐに逃げる |
なつく? | 人になつくことはない。一部の個体が人に慣れる程度 |
人との距離感 | 近くまで来ることもあるが、自然な行動の一部にすぎない |
ストレスの危険性 | 無理に慣らすことで、行動異常や体調不良につながることも |
エゾリスは「ふれあう存在」ではなく、「そっと見守る存在」なのだと考えると、その魅力がいっそう深まるかもしれません。
エゾリスをペットにできない理由と大切な考え方

鳥獣保護法でエゾリスは飼育禁止
エゾリスは「鳥獣保護法」によって、ペットとして飼うことが禁じられている野生動物です。
この法律は、日本の自然環境や野生動物を守るために定められたものです。エゾリスを含む日本に生息する野生の哺乳類や鳥類は、すべてこの法律の対象となっており、許可なく捕獲・飼育することはできません。
たとえ「保護したい」「飼ってみたい」と思っても、その気持ちだけで連れて帰ることはできない決まりになっています。法律を破った場合は、罰金や懲役などの厳しい罰則が科されることもあるので注意が必要です。
また、リスは可愛いからといって一時の感情で飼えるような生き物ではありません。自然の中で生きるべき動物を人の手にゆだねてしまうことは、エゾリスにとっても大きなストレスになってしまいます。
以下に、「鳥獣保護法」とエゾリス飼育の関係についてまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
法律の名称 | 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(通称:鳥獣保護法) |
飼育の可否 | 原則として野生のエゾリスは飼育禁止 |
対象となる動物 | 野生の哺乳類・鳥類(エゾリスを含む) |
違反した場合の罰則 | 捕獲や飼育で1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
エゾリスと出会ったときは、距離を保って観察するだけにとどめるのが、自然への優しさにつながります。
ペットにすると命の輪が断たれる
自然界で生きるエゾリスには、「食べる・食べられる」という命の循環があります。
エゾリスは、木の実や種を食べながら森を育て、そして自分自身もフクロウやキツネなどの天敵に命を奪われることがあります。こうした「命のリレー」のような関係性こそが、自然の中でのバランスを保つ大切なしくみです。
一方で、ペットとして人の手で飼われるようになると、エゾリスはこの循環から外れてしまいます。安全な環境、十分な食事、敵のいない暮らし――一見すると幸せそうに見えますが、それは「自然の一部としての役割」を失ってしまうことでもあるのです。
また、飼育された動物は野生に戻ることが難しくなり、自分の力で生きていく能力も少しずつ失っていきます。それは、動物にとって本当に幸せなことなのでしょうか。
人の暮らしの中に動物を迎えるのであれば、その命の意味や責任について、きちんと向き合う必要がありますね。
以下に、「命の輪」と飼育による影響について簡潔にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
命の循環 | 自然界では「食べる・食べられる」関係の中で命がつながっている |
ペット化の影響 | 自然の役割から外れ、循環が断たれる |
戻れない現実 | 一度人が介入すると、野生に戻すことは難しくなる |
私たちにできること | 飼うのではなく、見守ることで命のつながりを尊重する |
エゾリスが本来の姿で生きていけるように、私たちは自然との距離感を大切にしたいですね。
野生動物への支援とは何か
野生動物を守るために、私たちにできる支援は「飼わないこと」から始まります。
一見、野生動物を保護したり、育てたりすることが支援のように思われるかもしれません。けれど、自然界で生きている動物たちにとって、人の手が入りすぎることは「支援」ではなく「介入」になってしまうこともあるのです。
たとえば、エゾリスは自分の力で食べ物を見つけたり、天敵を避けながら生きる術を身につけています。そうした本来の生き方を尊重することが、最も自然に寄り添った支援のかたちではないでしょうか。
では、実際に私たちにできることは何でしょうか。まずは、野生動物に干渉しないこと。近づきすぎない、エサを与えない、追いかけ回さない――このような心がけが、生き物にとっての安心につながります。
さらに、野生動物の生息地を守る取り組みも重要です。森を残すこと、環境破壊を食い止めること、地域の自然保護団体に寄付をすることなども立派な支援です。
以下に、私たちができる野生動物への支援方法をまとめました。
支援の方法 | 内容 |
---|---|
干渉しない | 無理に近づかず、静かに観察する |
エサを与えない | 自然の食物連鎖を守るため、人工的な食べ物は与えない |
環境を守る | 森や公園などの自然を大切にする。ごみを持ち帰ることも支援の一つ |
支援団体に協力する | 保護団体や自然再生活動を行う団体への寄付・ボランティアなど |
「かわいいから飼いたい」と思う気持ちを、「自然の中で元気に生きてほしい」と願う気持ちへ。その変化こそが、野生動物への何よりの応援になるのではないでしょうか。
家で飼えるリスの種類と特徴
エゾリスは法律で飼うことができませんが、ペットとして迎えられるリスもいくつか存在します。
動物を家族に迎える場合は、きちんと法律に則った範囲で、その動物にとって無理のない暮らしができるかどうかを考えることが大切です。
ここでは、ペットとして飼育可能な代表的なリスの種類をご紹介します。
1. シマリス(シベリアンチップマンク)
小柄な体に背中のしま模様が特徴のリスで、ペットリスとしてとても人気があります。性格は警戒心が強く、なつきにくい面もありますが、手のひらでエサを食べてくれるようになる子もいます。
1年を通して活発に動き回りますが、冬になると寒さで冬眠状態になることもあるため、飼育には温度管理が重要です。
2. デグー(チリ原産の齧歯類)
見た目はリスに似ており、「アンデスの歌うネズミ」とも呼ばれるほど、高い知能と豊かな感情表現が魅力です。なつきやすく、人に慣れれば肩に乗ったり名前を覚えたりする子もいます。
ただし、運動量がとても多く、広めのケージや回し車などの遊び場が必要になります。
3. ジリス(グランドスクワール)
アメリカなどに生息する地上性のリスで、体はやや大きめです。性格はおとなしく、ペットとして飼われることもありますが、日本では流通量が少なく、情報も限られています。そのため、初心者にはあまりおすすめできません。
以下に、ペットとして飼えるリスの特徴を表にまとめました。
種類 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
シマリス | 背中にしま模様がある小柄なリス | 警戒心が強く、なつきにくい面も |
デグー | 高い知能と感情表現で人気 | 広いスペースと運動が必要 |
ジリス | 地上性でおとなしい性格 | 入手や飼育情報が少なめ |
大切なのは、動物の「可愛さ」だけではなく、「その子にとって幸せな暮らしができるかどうか」を考えることです。
リスたちは、小さな体にたくさんのエネルギーと感情を秘めています。そのため、単なる観賞用としてではなく、一緒に暮らす家族の一員としてしっかり向き合う覚悟が必要です。
最後に――
エゾリスに魅了され、ペットとして飼えないことを知ってがっかりされた方もいらっしゃるかもしれません。けれど、私たちができることはたくさんあります。野生動物を守る行動を選び、ペットとして迎えるなら、その命に責任をもって向き合う。
その選択が、動物にも人にもやさしい未来をつくる第一歩になるのではないでしょうか。
エゾリスはペットにできない3つの理由を総括
エゾリスに心ひかれ、「ペットにできるのかな」と思ってこの記事にたどり着いた方も多いかもしれません。ですが、エゾリスはあくまで野生の中でこそ輝く動物です。
ここまで読んでくださった方に向けて、エゾリスをめぐる基本的なポイントを以下にまとめました。
大切なのは、ただ「かわいいから飼いたい」と思うのではなく、命とどう向き合うかを知ることです。ぜひ、振り返りながらご確認ください。
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エゾリスは法律によりペットとして飼うことはできない
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鳥獣保護法により許可なく飼育・捕獲することは禁止されている
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違反すると懲役や罰金などの罰則がある
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エゾリスは野生動物として自然の中で生きる生き物である
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人気の理由は冬毛のふわふわした可愛らしさにある
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北海道では公園や神社など身近な場所で観察できる
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SNSでの写真や動画がきっかけで注目を集めている
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野生下での寿命はおよそ3〜4年と短い
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動物園では環境が整っているため最長16年生きた例もある
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寿命が延びても本来の行動が制限されると命の質は下がる
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人になつくことはなく、近づいても警戒して逃げる
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人に慣れる個体もいるがそれは「なつく」のではなく「慣れる」だけ
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無理に近づくとストレスや異常行動の原因になる
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野生動物への支援は干渉せずにそっと見守ることが基本
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飼えるリスとしてはシマリスやデグーなどの選択肢がある
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